2009年12月30日

大晦日

 大晦日のことを沖縄口ではトゥシヌユルーといいます。

 昔からの風習でトゥシヌユルーの夕飯は、マルチャジンから先に食べます。

 煮立てのお肉を、まな板の上にのせて、切り取ってお塩をつけて食べます。

 普段はやらない食べ方ですので、なんだか、歳を取る行事みたように思われて
身の引き締まる思いで食べたものです。

 ある牧師さんから聞いた話ですが、このマルチャジンの風習には、イスラエル
の民が、モーセに導かれてエジプトを脱出したときに、大急ぎで羊をほふって、
手づかみで食事を済ましたことを、長く記念して行われているものであるとのこ
とです。

 (中略)

 トゥシヌユルーはには小さいおにぎりをいくつも作って、天井裏の四隅におき
ます。

 一つの屋根に住んでいるねずみたちにも、年越しをさせるためです。

 アキマドゥシからは、チャーヰークトゥビケージ。

 その時に、唱える言葉がふるっています。

 「島の西東(イリアガリ)から、銀塊(ナンジャムルシ)、黄金塊(クガニム
ルシ)、クーティクーヨー、役目(ヤクミー)」

 この時ばかりは、ねずみたちを、役目(ヤクミー)と呼んで、人間扱いします。

 普段は猫をかわいがって、さんざんな目に合わせているくせに、年に一度だけ、
ヒジュルー米ニジリー小(グワァー)をくれて、銀の塊や、金の塊をくわえてこい
なんて虫の良い話ですね。


                           宮城嗣周著「嗣周歌まくら」より


写真は宮城嗣周師、73歳(寅年)祝いにて。
 大晦日



同じカテゴリー(嗣周・歌まくら)の記事
雲岩長老
雲岩長老(2009-12-24 18:39)

橋の話
橋の話(2009-12-08 00:51)


 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。